現在の仕事についた経緯
サラリーマン時代に上司に退職後について問われ、価値創出の足跡が特許と論文とプロジェクトであることを痛感し、研究所在籍中から社外活動として研究テーマであったネットコンピューティング(現 クラウド)の国内市場創出活動を仲間と始めたところ、数百名の規模となりました。
結果としてクラウドの国内最初の提唱者となり、クラウドが普及する中、京都議定書の政府テーマであるCO2削減を機にデータセンターの電力消費問題にも取り組み、外気を活用したグリーンエナジーデータセンターを共同提案し論文を発表しました。
クラウドとデータセンターが日本から外貨を獲得できるビジネスモデルで巨大産業となることから、成功モデルを作るべく起業しました。多くの仲間の協力により、石狩地域を最適なDCエリアとして認知させることに成功しました。IT企業や日本の経済発展に寄与したいと考えています。
仕事へのこだわり
40年に渡りネットワークとコンピューティング(現在のクラウド)の研究開発・新市場開拓に携わる中で、新しい技術アイデアの発明・発案、その価値の明確化、普及して人類がメリットを獲得することを意識してきました。
①自ら特許出願や論文で新しい技術アイデアを創出し、実際に社会で活用してもらうため、業界の技術者や営業SEの皆さんにそれによる顧客メリットと事業者メリットを解説し、具体的ビジネスに具現化してきました。
②クラウド・データセンター(DC)については、国内最初の提唱者として、1996年に国内最初の業界団体(200社800名)を設立し、ファウンダーとして、初代技術部会長に就任しました。7つ程度の具体的ビジネス研究会や、多くの国のプロジェクト・委員会の設立を推進して、クラウドの理解と具体的価値・ビジネスの具現化を政府官僚・政治家・業界・大手シンクタンクに解説しつつ、討議の場作りを実施してきました。
③2000年前後より、クラウドとDCの価値をさらに広く国内に広めるため、政府官僚・大手シンクタンクメンバー、大手中堅IT企業経営者・営業・SE(約2万名)、自治体職員(約5000名)に解説を実施してきました。特にIT企業の営業SEには、「技術をマーケットに届けることができるのが本物のIT営業・エンジニア」との考えから、ルーチン作業に陥りがちになることに警鐘を鳴らし、クラウドイノベーションが顧客に提供する本質的なメリットと構造をひも解いて解説してきました。受講者から国内で唯一の講座との声をいただいています。またIT企業の経営者教育においては、世の中に革新的技術が出現すると、シュンペーターの言う「創造と破壊」が発生し、価値の創出を具現化する領域と古いものの破壊が具現化することを示してきました。自社が創造する側になるか、破壊される側になるかは経営者次第であることも伝えています。
④2006年前後から将来DCの消費電力が巨大化することを具体的に計算・提唱し、再生可能エネルギーを活用したグリーンエナジーデータセンターを発案。北海道で業界人100名を集めて、最も消費電力構成比の大きな空調をほぼゼロにすることを実証し、具体的な物件誘致・建設を具現化させました。この技術は、単なる一つの発明にとどまらず、業界・社会・地球環境に具体的なメリットとコスト競争力をもたらすことを目指しました。
若者へのメッセージ
私が自分の社会ミッションを考え、形成し始めたのは40歳前後になってからです。次世代を担う若者(大学の講義においても)には、5つのことを申し上げたいです。
①世の中には、たくさんのテーマや課題があり、みなさんにはいくらでも活躍の場もチャンスもあり、人材は枯渇状態であると認識すべき。
②私が考え始めた時代とは異なり、洗練された情報がいくらでもネット上にあるので、だれでも勉強が可能。
③テーマの探求は、誰でも、20代30代40代50代と何歳からでも、始められる。テーマにチャレンジするのに年齢制限はなく、若いからとか、高齢だからというのは言い訳でしかない。
④就職してサラリーマンになっても、それは情報収集とノウハウ・経験の蓄積の場だと考えるべきで、そこだけが本当の活躍の場ではない。重要なのは一生追いかけるテーマを持つこと。
⑤実は天才はいない。すべての天才と考えられる先人は、普通の人が「考え続けた」「諦めなかった」「やり続けた」「積み上げた」のだと思う。