現在の仕事についた経緯
会社に属していると、企業全体のポートフォリオの中で優先順位が決まり、必ずしも自分のやりたいことに経営資源が投下され続けていくわけではありません。また、仮に起業に失敗したとしても、命がなくなってしまうわけではないという、半ば楽観的と思えるような思考(心理的なセーフティーネット)もあります。
だとしたら人生一度きり、「他がやっていないなら、自分でゼロの段階から「起業」という形で、自分の没頭したいことに納得いくまで挑戦を続けていこう」と思い、株式会社NearMe(ニアミー)を創業することにしました。
仕事へのこだわり
経営者として、今は、大きく2つを大切にしています。
1つ目は現地現物を大切にすることです。
楽天時代、当時常務だった武田和徳氏(現:取締役 副社長執行役員)に言われたことがきっかけでした。現地に行かなくても状況については報告を受けていたのですが、「実際に行って状況を見たのか?」と問われました。その問いに対して「状況を実際には見ていません。」と伝えると、「今やっていることを全部切り上げて倉庫に行って、状況を見てきなさい。」と言われました。この武田常務の言葉に、現地現物の大切さを身をもって体感しました。今も、地域が置かれている状況は、現場からのレポートを目を通すだけではなく、基本的には自分の目で見に行くようにしています。
2つ目はオープンでフラット、そして正直でいること、対話をすることです。
楽天時代は、買収した企業の代表として、日本・アメリカ・フランスの3カ国のスタートアップ企業とコミュニケーションを取る必要がありました。その中で、コミュニケーションを円滑に進めるために大切にしていたのがこのスタンスです。
現地で折衝する企業の人たちからのバイアスを取り除くには、まず自分がバイアスをかけないで接することが重要だと考えています。
若者へのメッセージ
楽天時代にM&A事業に関わっていて、起業家の方々と一緒に仕事をする機会が多くありました。彼らと接していくなかで、能力や経験よりも、仕事に対するコミットメントが大切であると気づかされました。大切なのは、自分がやりたいことを、自分の言葉で語れることだと思います。また起業という選択をしたのも、会社員という立場だと自分のやりたいことをやり続けられないと思ったからです。
私の好きな言葉に「Follow your heart and intuition(あなたの心と直感に従いなさい)」というスティーブ・ジョブズの言葉があります。他と比較をしたくなったり、目の前を生きることだけで精一杯になったりすることもあるかもしれません。ただ、最後はやっぱり自分の心が素直にワクワクすることが大事だと思っています。
自分の直感を信じて、ワクワクすることに素直に従ってみることをお勧めします。人生は一度きりです。やりたいこと、ワクワクすることがあるなら、ぜひそのことに挑戦してみてください。