現在の仕事についた経緯
父が創業した会社に次男の気楽な身分で「変わった会社で面白いかも」程度の動機で入社しました。
しかしながら会社を継ぐ予定だった兄が交通事故で急死してしまったため、現在の仕事につくこととなりました。
仕事へのこだわり
私自身には入社当初から野心はほとんどありませんし、仕事のうえで個人的な欲求で何かをしたいということもそれほどありませんし、自身の成長にもそれほど興味はありません。ただ困っている人がいたら助けられたらと思いますし、喜ぶ人がいるのならやってあげたいとは思いますし、皆のために求められることがあるならば応えたいと思います。そういう想いは人より強く、自分にとって不都合なことでもやるほうで、やりきるほうだと思います。そうやって走り回って行動範囲が広がっていくにつれ、それに見合った役職に上がっていきました。
父から任命されて社長になったときも、社長就任の前後で仕事の内容は変わりませんでした。すでに会社全体で問題解決や改革で走り回っていたからです。現在も、「会社の未来のビジョンを熱く語っている」などと言われることがありますが、会社存続のために必要なビジョンだから語っているだけで、自分個人の熱ではありません。
私は野心がほとんどないので冷めた人間だという自己認識ですが、振り返ってみると自分のスタイルなのかもしれないと気づきました。お客様に喜んでもらうことや、仕事仲間に喜んでもらえること、そういうことが巡り巡って商売として循環していくものなので、いつも自堕落な自分を律したい気持ちがあります。
一番こだわっているのは現場主義です。事業は現場が前に進むから成し得るのであって、現場が精密かつ元気でなければなりません。マネージャーは、現場に精通した者であり改革者でもあるべきです。ビジョンの達成、つまり事を成す、というのは職人技のように現場を作り上げて前に進めるということでもあり、そこに充実を感じます。もっともらしい偉そうな空理空論や、現場が前に進まない議論は、虚しいばかりです。
若者へのメッセージ
「自分の好きな仕事」、「自分に合った仕事」、「自分の能力が発揮できる仕事」、「自分が成長できる仕事」、そんな仕事を探しましょう、みたいな時代の風潮があると思います。「自分」「自分」って気持ち悪い、どうでもいいと私は感じます。好きな職種についても、好きではない仕事をたくさんこなせないといけないのです。自分に合った仕事で能力が発揮できるかなんてやってみないと分からないですし、最初は何もできないところからスタートします。むしろ、どんなことにでも積極的に取り組める人のほうが強いですし、成長はその先に結果としてついてきます。
世の中は「自分」の都合の良いこと中心で動いていないので、「自分が好きな仕事」や「自分に合った仕事」が何か分からなくても全然大丈夫です。むしろ健全です。自分がどうこうよりも人のためになることに目を向け、それが自分にとって都合が悪いことでも実行できる人になれるよう、より人の助けになれるよう実践で鍛えていくことが大事なのです。自分なんかが少しでもお役に立てるなら、という感謝の気持ちで積極的に取り組めば、お客様商売も仕事仲間との関係も回り出す力となっていくはずです。