現在の仕事についた経緯
自衛隊の看護学校の学生として病院実習をしていた時、仕事として患者さんと接するのではなく、病気や怪我をする前にもっと積極的に関われたら良かったなと感じました。
看護学生だった当時、男性の看護師さんは今のように一般的な病棟にはあまり見当たらず、檻や鍵のついている精神科か手術室で活躍していることが多かったのですが、私は一般の病棟実習に来ていたので感覚が違いました。そのため、「家族の方のお見舞いが何ヶ月もないなぁ」と気づいた事例があります。
毎日泥酔して家族に暴力をふるって暴れん坊だった患者さんがいらっしゃいました。患者さんと接する中で、入院に至った経緯も確認するのですが、その方はある日、泥酔して帰宅中に階段から落ちて、脳の一部を損傷し、そのまま入院されました。脳の機能は回復するわけもなく、本能だけの状態のまま、これからの生涯を精神科のベッドで過ごすことになったのです。確かに、ご家族が疎遠になる気持ちも分からなくはありません。しかし、毎日、泥酔をしないといけないライフスタイルとはどのような感じだったのだろうとも思います。
この患者さんの事例だけではありませんが、私は、入院してしまってからではなく【入院加療が必要な状態になるまでの理由】に積極的に関われたらいいなと感じるようになりました。
看護学校を卒業した後は、護衛艦や潜水艦で衛生員・看護長(メディカルスタッフ)として勤めました。退職後は大手スポーツクラブの接骨院で働きながら、当時は学校も少なかったので海外から文献を取り寄せ、独学でアロマやハーブの勉強を始めました。
私は医師ではないので治療行為はできません。しかし、病院実習で体験した、“病気になるまで”に関わりたいと考えております。日々の暮らしの中で人間の五感を満たし、心も身体も苦痛を伴わず癒すことを理想としました。
そのため、活動の幅を広げ、オーガニックのハーブティーや玄米ベースのフードを主体としたカフェバーと、日々の生活の中で自分自身の心や身体はもちろん家族や大切な人を想って選べる、日用生活雑貨や食品などを扱うショップを経営するに至りました。
仕事へのこだわり
健康に関しては職人気質で独学でも学んでこれましたが、経営に関してはド素人でしたので、メンターを決め、一から経営のイロハを学び、今も勉強中です。
中途失明した母と生活をしていく中で、障がい者の方との接点も多くなり、現在では障がい者の方、高齢者の方、外国人の方も積極的に雇用して一緒に働く場をつくっています。そのため、これから力を入れていきたいことは、インクルーシブな社会の実現です。性別や人種はもちろん、障がいの有無なども含めて、すべての人がいきいきと生活できる社会を目指します。
そんな社会を実現するためには、意欲のある人が活躍できる場をつくることが大事だと感じています。様々な個性を活かし一緒に働くことで自分自身もとても磨かれます。
仕事は人生そのもので、終わりがありません。生涯現役で成長しつづけます。
若者へのメッセージ
どんどん新しい体験をしていきましょう。
「欲しいもの」「やりたいこと」「こんな風になりたい」など、今の願望や価値観は、今まで見てきたものや体験から選んでいます。見たことも味わったこともなければ、判断材料もないのに、「欲しい」とも「やりたい」とも「なりたい」とも思うことはできません。
「今、欲しいものもやりたいこともなりたいものもないです。」という場合は動きましょう!動かないからずっと同じなんです!!
ただ、いま目の前にある「手に入りそうなもの」「できそうなこと」「なれそうな状態」を選んでいるだけだから、毎日つまらないんです。それは、まだまだ大きな可能性がある人生の中で、生涯にわたって妥協と中途半端な満足と力の出し惜しみをし続ける決断でもあります。
仕事は正に人生道場のようなもので、大きく自分自身を試せるチャンスです。働き方を見れば、その人の未来が見えます。自分自身の未来に期待をして、仕事でも人間関係でも大いに汗をかいて、創意工夫をし、ビックリするくらいに喜んでもらえる価値を提供できるように経験を重ねていきましょう。
自分自身も人生の先輩方にたくさんの経験をさせていただきました。感謝です。