現在の仕事についた経緯

大学時代は褒められた学生ではありませんでしたが、建築学科で学ぶうちに、人間工学やサッシや雨仕舞い等の詳細ディティールを勉強する構法計画、木組み等を検証する木質系構造等、建築の中でもよりミクロなものの勉強はあまり苦にせず取り組めた経験がありました。
自分の適正的に、大きな建物や街づくりのような手に負えない大きなものより、より小さく自己完結できるものを相手にする仕事を選びたいと考え、リフォームの業界を志望し就職をしたのが経緯です。
冷静にメタ認知をすることで、必ず向き不向きが見えてきます。自分がやりたいことよりもやれることと向き合って仕事を選びました。

仕事へのこだわり

新人の時代はとにかくインプットに時間を割きました。カタログや建材のサンプル類が保管してある書庫を整理しながら一冊ずつ手にとって、どんな時にどんな材料を使って工事をするのか、またどんなメーカーがあってそれぞれどんな特色があるのか等、一通りの教科書的なやり方や型のようなものを探していたことを覚えています。
生意気がすぎて、懐に入って先輩社員や上司から教えを乞うことが出来なかったので、社員がいなくなった真夜中の事務所でプランやデザインが上手い先輩のデスクの引き出しを開けて図面資料を拝借して内緒でコピーをし、それがどのように考えられてどう作られていったのかを想像しながら幾つもの平面図を頭の中で歩きました。
一通りの仕事を独学で覚えた後には、独立することを目標に業務をこなしつつ、会社の内規や業務のマニュアル、数字の見立て、仕入れや商習慣に至るまでを自分ならどうするか考えながら、ひたすらトレースしました。
知識の深さというよりも法則性や型を探して、自分なりに理解をして、浅くとも守備範囲を広くし、何が起こっても動ける対応力を磨きました。
知識や経験を具体的にアウトプットする独立前の訓練として、ベンチャー企業へ転職をして、敢えて全てが足りていない環境で、今まで出来ていたことを基本に忠実にやってみることにしました。目的意識を持って、その動機に突き動かされながらしつこく純粋にやり切るスタイルは、自学自習ととりあえずやってみるのトライアンドエラーで身につけました。
こだわりではないですが、出来ない理由を探すのではなく、できる方法を常に考えて、ひとまずやってみることを今も続けています。

若者へのメッセージ

強かにしなやかにいてください。強い目的意識があれば、会社の人間関係の不条理や、不満など頭から消えてなくなります。強さは堅さじゃない。力を去なすしなやかさです。
若い人たちの対外的な見せ方の上手さはY世代の自分達にはない才能だと思います。ファッション然り、SNSの利用然りです。すごくおしゃれで個性を感じて素敵だと思います。ただし、見せたい自分と実際の現実の自分の乖離が大きくなればなるほど後々精神を壊したり、うまくいかなかったときにそのギャップを受け入れられなくなったりすることがあると思います。
辛い作業ではありますが、自分と禅問答をするようによくよく語らって、自分を自分のものにする訓練をしてください。また世代だけで固まるのではなく、年上の人たちとよく交流を持ってください。
人口構成の割合において、圧倒的に若者に不利な世の中です。世代で孤立するのは不利な状況となるため、上の人を巻き込んで若者にとって良い政治や社会にしてください。先に死ぬ人たちに自分達の命運を預けてはいけません。若い人たちが生きやすい世の中になるように私も頑張ります。