現在の仕事についた経緯

私は群馬出身で、幼少期から魚が大好きで、熱帯魚ショップに一日中いることもありました。
新卒後に一度は会社勤めをしましたが、どうしても合わず、自分探しの旅に出ました。その過程で、昔から大好きだったアクアリウムを思い出し、これを仕事にしたいと強く思うようになりました。
アクアリウム事業で独立するも、当初は仕事がなかなか見つからず苦労しましたが、あるアクアリウムのコンテストでグランプリを受賞したことで、状況が一変しました。この受賞を機に、徐々に仕事が増え、私のアクアリウム事業は軌道に乗り始めました。
現在は「水の中の宇宙」をテーマに、アクアリウムを通じて独自の世界観を表現することを目指し、日々挑戦を続けています。横浜ワールドポーターズとのコラボを通じて、幼少期からの夢であった「UNDER WATER SPACE」のイベントを実現し、「日本人としてのアクアリウム」を世界に届けることを志しています。

仕事へのこだわり

私の仕事に対するこだわりは、アクアリウムを単なる「水景や生態系の再現」ではなく、空間と調和する最高のアート作品として表現することにあります。
昔、アクアリウムは「オタクっぽい」とされ、「アクアリスト」という職業も一般的ではありませんでした。しかし、私はアクアリウムこそが日本を代表するアートになり得ると考え、その価値を広めるために努力してきました。
例えば、日本の伝統的な観賞魚である金魚は、見る人に喜んでもらうために様々な品種改良が行われてきた歴史を持っています。私は魚たちにアートとしての舞台を用意し、標本のように展示されるのではなく、その魅力を引き出すことを目指しています。
また、デジタル化が進む現代において、日本人には日本文化や伝統を見つめ直す機会を提供し、訪日外国人には新しい形で日本文化を認識してもらうことが重要だと感じています。私たちのアクアリウムは、従来の水族館とは異なり、「魚」を展示の主役ではなく、「アート作品」として位置づけています。
通常の水族館では魚は観察や研究の対象とされがちですが、私は「自然界が作り出した完成されたアート」として魚を捉え、その美しさを最大限に引き出すための工夫を重ね、異空間を創り出しています。
こうした取り組みを通じて、水族館業界全体に新しい可能性を提示し続けることを目指しています。私のスタイルは、このようにして築かれてきたものであり、今後も新しい挑戦を通じて、さらに進化させていきたいと考えています。

若者へのメッセージ

一度きりの人生だからこそ、行動することが大切です。若いうちに本当に好きなことを見つけるのは案外難しいかもしれません。だからこそ、まずは行動してみましょう。チャンスがあれば、一歩踏み出してみることが重要です。そうすることで、自分が好きなことや苦手なことが少しずつ見えてくるはずです。
例えば、私も水槽のレイアウトを考えるとき、迷うことがあります。TVの取材が入ると、格好つけているように見えるかもしれませんが、実際には決まっていないことの方が多いのです。そんなとき、私はまず石を置いてみたり、立木を配置してみたりします。すると、ほんの少しですが形になり始めます。それは、レイアウトと呼ぶには程遠いし、何もできていないのと変わらないかもしれませんが、0から1にするための一歩です。
この一歩を踏み出すことが大切です。場所が合わなければ、後でずらせばいいし、取ってしまっても構いません。ただ、置いていくうちに、何となく形が出来上がってくることがあります。これは人生においても同じことです。仕事もひとまずやってみて、その中でレイアウトをずらしたり、調整してみるといいでしょう。
好きなことが見つかれば素晴らしいことですが、見つからなければやめてもいい。ただ、最初の一歩を踏み出すこと、それが何より大事です。