現在の仕事についた経緯

小さい頃から家業で花の生産をしており、手伝いもよくしていました。なんとなく、「長男だし後を継ぐのかな」と思ってはいました。
大学卒業後は病院での勤務を経験しました。当時は祖父もまだ現役で、親子3代で家業をしていくことに魅力を感じることが出来たのも、外で仕事をする経験があったからだと思っています。
地域の産業として、家族がしている仕事を一緒に手伝いたい、特に祖父が元気なうちに一緒に仕事をしたいと思い、就農しました。

仕事へのこだわり

始めは特に農業を勉強してこなかったので、右も左も分からず、言われたことをしているような状態でした。祖父と働くのは楽しく、経営のことも生産技術のことも日々勉強しながら1から学んでいきました。
同じ生き物を相手にする仕事ですが、植物は喋ってくれません。痛がることもありません。しかし、必ずサインは出ています。肥料が足りない、水が欲しい、暑い、寒い、花から出る様々なサインを逃さず感じ取り、適切な管理をしてあげることを日々心がけています。
就農から5~6年経った頃、色々なことを任せてもらえるようになり、新しいことにチャレンジしてみたいと思うようになってきました。
そこで、まずは黄色の輪菊を作り、その後はスプレー菊も取り入れました。さらに今、最も力を入れているのが洋菊です。就農時は白の輪菊だけ作っていましたが、現在は年間50〜60種類もの菊を作っています。
コロナ禍を経て、葬儀の形態は様変わりしてしまい、大きな規模の葬儀は減り、家族葬がスタンダードになったため、主力の白の輪菊の使用量が減ってきました。しかし、ご家庭で花を飾る方、特に若い世代の消費は増えていると感じています。仏の花ではなく、普段から飾っていただけるような花の生産を今後は増やしていきたいと思っています。
弊社では、面白そう・良さそうと思ったことは、とにかくやってみるようにしています。これまで、色々な方からいただいたアドバイスや情報を元に、「やるか、やるか、やるか。」の精神で挑戦し続けています。
現状維持は衰退の始まりです。年々、スタンダードやテクノロジーは変わっていきます。農業分野もそうです。私は、儲けの部分は全てスタッフの幸せとチャレンジへ還元する、くらいの気持ちでやっています。上手くいかないことも多いですが、様々なチャレンジが業界で認知され、注目されつつあることにやりがいを感じる日々です。
「菊のイメージを変える」菊の花は桜と同様に国花です。パスポートの表紙も菊です。今まで通り、ご先祖様への花としての役割はしっかりと残しつつ、新しい菊の使われ方を模索し続けていきたいです。

若者へのメッセージ

チャレンジしていく勇気と情熱、これがあるのとないのでは、人生が大きく変わってしまうと思います。若くエネルギーがあるうちに様々なことにチャレンジし、楽しい体験・悔しい体験をしてください。若いうちにしか出来ないことは沢山あると感じています。
そして、判断力、撤退力を磨いてください。何でもやってみることは大事です。しかし結果も出ないまま、全てを続けるのは体がいくつあっても足りません。モチベーションも続かないと思います。
やってみたけれどこれは厳しいんじゃないか、自分には合っていないんじゃないかと、経験を積むことで少しずつ分かってくることもあると思います。
何も挑戦しない人はこれは分かりません。チャレンジし続け、撤退力も磨き、洗練された取捨選択が出来るような人生を歩んで下さい。