現在の仕事についた経緯

結婚で夫の家業(上水道配管工事や建築工事を行う建設業)に入社しました。バックオフィスの経理・総務を担当し、家業を支えつつ子育てをしながらも、自身のキャリア形成に物足りなさを感じ、いくつか資格取得に精を出す時期もありました。
下の子の大学入学のタイミングで母校の社会人大学院に入学したことで意識が変わり、世界が広がりました。MBAでの学びを実践しようと意識して用意していたわけではありませんでしたが、長年、東京都の上水道配管工事に関わってきた知見と課題意識を背景に、新規事業として、健康被害のない、環境破壊もない、水なのに洗浄力が高く、エビデンス付きの除菌と消臭が出来る洗浄・除菌・消臭水=GBW(グリーンバブルウォーター)事業を始めました。
一方、人生100年時代を鑑み、「女性も男性も、歳を重ねても、心身ともに健康で自己肯定感を持ち続けられる世界を作る」ため、「大人たちのためのサロン B.B salon」をオープンし、日本の女性のナチュラルビューティーを応援しつつ、GBWを通じて綺麗な水環境を次世代に残す取り組みをしています。

仕事へのこだわり

私は、均等法世代でバブル世代、当時の新卒女性は、総合職か一般職かを選択したうえで就職試験を受ける時代でした。男女の区別なく学生時代を過ごしたことから、社会に出るタイミングで男女の間で待遇差が生まれることに素朴な疑問を持ち、総合職で信託銀行系投資顧問会社に就職しました。新しく立ち上げられた子会社での女性第1期生でしたが、家業がある大学時代の同級生と結婚し、家業に入ることを望まれ、小さいとはいえ、ゆくゆくは会社を経営することに仕事の面白さとやりがいを求め、退社しました。
ですが、家業は東京都の上水道の土木工事と建築業を行う会社で、女性はバックオフィス。それはそれで大事な仕事とはいえ、どこかモヤモヤを抱えていました。また、大企業に勤めて研修などを受けている同年代の人たちから遅れをとっているのではないかという焦燥感を、心のどこかでいつも感じていました。資格を多数取ることで学ぶ機会を設けたり、趣味の着物を活かして成人式の着付けの仕事を休日にしたりしていたのは、“自分にしかできない何か”を求め続けていたからだと思います。
そんな中、下の子が大学に入るのと同じタイミングで母校の社会人大学院に入学したことが転機となりました。母校での学びは楽しく、ビジネス経験の乏しさを、机上ではありますが埋めることが出来たと感じました。そして何より、多様な社会人大学院生や実務家である特任教授の方々から、世代や国境を越えた多様性に接する貴重な経験ができました。
大学院の修士課程を修了し、博士課程後期に進んだタイミングで、新型コロナウィルス感染症が拡大しました。そんな中、新規事業として形にできたのが、水由来の洗浄・除菌・消臭水/GBW(グリーンバブルウォーター)でした。コロナ前から強アルカリ電解水の製造を手掛けている中、強アルカリ電解水にウルトラファインバブルを生成する新製品を開発し、製造・販売を開始しました。
その後、事業再構築補助金を活用し、心身ともに健康で自己肯定感を持ち続けられる社会づくりに貢献したく、日本の女性のナチュラルビューティーを応援するセルフエステサロン事業を始め、今に至っています。
仕事へのこだわりとしては、面白さとやりがいを感じていたい、何事にも何人にも誠実に向き合い、主体性を持って仕事をしていきたいとの想いでいます。自分が仕事を通じて社会に貢献できることは何か?をいつも問いつつ、いつまでも現役であり続けたいと考えています。

「SDGs」についての取り組み・考えなど

地球は「水の惑星」と言われていますが、河川や湖沼などの人が利用しやすい状態で存在する水=淡水は非常に少なく、その割合は地球上の水のわずか0.01%に過ぎません。それほど希少な水なのに、それを意識している人はどれくらいいるでしょうか?
今、水の水質汚染が進んでいます。その原因には、産業排水、生活排水、地球温暖化などがあげられますが、産業排水は改善が進む中、現在は生活排水が水質汚染の一番の原因となっています。
水質汚染の原因となるのが、石油由来の合成界面活性剤です。ほとんどの洗剤には石油由来の合成界面活性剤が含まれています。合成界面活性剤は、汚れと共に水中を漂い、海や川、湖に流れ込んでいき、1ヵ月経っても3分の1強が全く分解されずに残ります。そして、生態系を破壊し、土壌を汚染するだけでなく、魚の呼吸器官に直接害を及ぼし、食物連鎖における生物濃縮(環境中に存在する有害物質が食物連鎖を通じて濃縮されていき、高濃度になっていくこと)にもつながります。つまり、私たちの食の安全をも脅かしているのです。
そこで、合成界面活性剤などの有害な化学物質を含まず、汚れを落とせて環境も守れたらいいなという、「あったらいいな」の想いを形にしたのがGBW(グリーンバブルウォーター)です。水由来で合成界面活性剤を含まないのに、汚れにも、除菌にも、消臭にも効果を発揮します!
今、海の汚れも深刻です。2050年には、海中の魚の総重量よりもごみの総重量が多くなると言われています。河川や湖沼、海の環境を守ることが、切に求められています。
上記のように、水環境を守りたいという想いは、世にあるすべてのものが、等しく本来あるべき美しい状態でいられたらいいなとの願いから来ています。それは、ジェンダー平等にも繫がります。性別に拘わらず、心身ともにその人らしい美しさを保てる社会・環境が実現出来たらと考えています。

若者へのメッセージ

以前は、女性は男性の何倍も努力しなければ、仕事をさせてもらえない時代でした。ですが、今や日本も少子高齢化により、国籍や男女の区別なく仕事に就くことを求められる社会へと変化しつつあります。その一方で、女性の場合は、ライフイベントにより仕事との関わり方を変えざるを得ないケースが多いのも事実です。
アンコンシャスバイアスという言葉をご存知でしょうか。人の心の中にある、無意識の偏ったモノの見方のことです。男性だから、女性だから、〇歳だから、母親だから、父親だからといった見方で、自分を、そして周りの人を枠にはめ、行動に制約をかけていないでしょうか?
日本には、ジェンダー平等における課題が多く残されています。現状の課題を知り、今、自分の足元からできることを考えてみましょう。自らのアンコンシャスバイアスを取り払い、まず変わるのは自分自身から。自分が変わり、相手の価値観も認めつつ、自ら行動に移していくことで、周囲の協力を得ていきましょう。
女性が女性であることを愉しみつつ、女性ならではの視点を仕事や社会に活かしていくことで、よりよい社会=SDGsの実現に繋げていけたらいいですね。