現在の仕事についた経緯
20代にフィットネスインストラクターをしていた頃、たまたまそのフィットネスクラブにトレーニングで来ていたプロレスラーのラッシャー木村さんから、身体をほぐしてくれと私に頼まれたことがありました。彼は長年のリング歴によって脊椎の柔軟性がほぼなくなり、一般の人ができるような姿勢をとることが非常に困難な状態でした。なんとかしたかったのですが、当時の私自身には専門知識があまりになく悔しい思いを抱くことになりました。
そこから「治す」とはどういうことか、また、その人のQOLを向上させるために出来ることは何かと考えはじめ、柔道整復師の資格を目指すこととしました。
仕事へのこだわり
接骨院に来る患者さんは大なり小なり身体に不調を抱えており、なんとかしてほしいという思いで来院されます。私たちはその思い(主訴)に対し治せる技術を持ち得ている人間でなくてはなりません。即ち、「治す」ということにどれだけ真剣に向き合い、立ち向かえるかにかかっていると考えています。
私たちは画像診断で精査することも薬を使って人体に働きかけることもできません。だからこそ経験学に頼るのではなく、医科学的にエビデンスの整っている知識や技術を用いて患者さん自身の治癒力を向上させなければ望むような結果は生まれません。
しかしながら私には、いわゆるマッサージ(手技療法)に関して言うと、文献や先人の知識を借りようとしても経験学に頼っている部分が占めているように見受けられました。手技療法にもエビデンスを伴い、手技という物理的な刺激が人体へどのような生理的作用をもたらしているのか、基礎医学をもとに理論を構築しなくては患者さんの主訴を取り除くことはできないと考えて実践しております。
一例ですが、人体に損傷が起こるとサイトカインという滲出物が分泌されます。この中には痛みのメカニズムを引き起こす物質があり、痛みという反応が起こると、人体は筋肉を収縮させ関節運動を制限し痛みを増強させないようにします。これが防御性収縮です。防御性収縮は人体の正常な反応ですが、強く出過ぎてしまうと血管や神経の促通を妨げ、循環不全を引き起こします。循環不全の解消が治癒過程を亢進し損傷の修復を早めることにつながるのです。
軟部組織損傷を診るプロとして、患者さんの痛みにどれだけ真剣に向き合い続けられるか。それを一番に日々施術を行っております。
「SDGs」についての取り組み・考えなど
医療を受けることが出来る、ということはすべての人に与えられる権利ですが、「病院にかかるほどでもないけれど不調が続いている」ということは、誰にでも起こることではないでしょうか。まだ病気になっているわけではないけれども、放っておくと病気になる可能性がある。病院の前衛施設として健康の増進に貢献することがSDGsにつながっていると私は考えております。
当院にも、変形性膝関節症で手術をしないで済むように進行させないようなケアをしている方、リウマチによる関節変形が進行し膝や頸椎が人口関節だけれども寝たきりにならないように毎日通われている方がいらっしゃいます。また、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)で肩腕があがらない、坐骨神経痛による痛みで動くことが辛い、このような痛みや不調によって、ADL(生活基本動作)が著しく損なわれている方々の悩みに寄り添い、QOL(生活の質)を高めていくことに尽力しております。
医療にかかることを大前提として、医療にかからなくても良い状態でいられること。寝不足のせいで頭痛が辛いなどでも構いません。そんな小さな不調も気兼ねなく相談できる、身近な地域の整骨院として健康を支えていきたいと考えております。
若者へのメッセージ
お仕事は楽しいですか。
楽しいとかそういうのではなく、お金を稼ぐ手段だとか、安定するためにやってるだとか、いろんな考え方があると思います。
でもね。責任を持つって怖いけど楽しいんです。
僕の場合で言えば、患者さんの人生はすべて僕にかかっている。
重圧です。でもだから信頼してもらえる。僕に人生の最期まで預けてもらえる。
とても残念なことなんだけど、努力って実らないこともある。僕で言えば、患者さんの信頼を得られなかった、とかね。でも自分の持てる最大限の力で取り組んだことは絶対に自分を裏切らない。
何かに、誰かに。100%で一生懸命になれることは必ず自分に返ってきます。
勉強だってアルバイトだって、社会人になりたての人もそう。
今やっていることが何のためなのかわからなくても全力でやりきってみてください。