現在の仕事についた経緯

医療従事者時代に担当患者の死を目の当たりにして、身体にのみ関わろうとする西洋医学の思想に違和感を感じ、「健康・幸せとは何か?」の探求が始まりました。
基礎医学から比較解剖学、哲学、心理学、人類学、経営・マネジメント、コーチング、カウンセリングなど様々な領域を横断して学んでいるときに、縁あって森に辿り着きました。

森の営みを知ることで、それが暮らしや関係性、個人の心身だけでなく、事業のあり方や社会課題解決まで包括できる概念であるという視座を持つようになり、健康・幸せ、関係性、生き方や働き方、事業構想までを森からの思考で行うようになりました。
そして、自然の摂理をただ理論化するのではなく、畏敬の念なども含めて身体性を通した日々の営みとして実装するために、オンラインと森という対極なフィールドで実践し、抽象と具体、主体と客体の間を行き来しながら、自分が関わりうる人・社会・自然の幸せについて問い、事業を続けています。

仕事へのこだわり

本当に大切なことを大切にして、「生き方を表現する」事業家であることです。
今でも想いの根底にあるのは「健康・幸せとは何か?」という問いです。これは当時の担当患者の死を目の当たりにしてから探求が始まりました。
領域を横断して書物を読み、様々な体験の中で出会う人たちと対話を重ねていくことで、自分自身も含めて、世の中は関係性によって常に移り変わっていることに気がつきました。
自分という存在が他者や社会に影響し、また自分も他者や社会から影響を受けて変わる。このような変化と適応の中でずっと変わらない何か、それが本当に大切なことなのだと思います。
もちろん、表現の仕方や見え方は変わるかもしれませんが、本質的にどの視点から見ても共通するものがあり、それが「らしさ」と言われるものであって、生き方を表現するものなのではないかと考えています。そして、それを探求して事業にすることができたら、それ自体が喜びになります。

しかし、生きるということは一人ではなく、他者や環境があって初めて成り立ちます。つまり他者からの共感や受容がなければ生きることとしても、事業としても成立しません。だからこそ、自己表現と他者との接点を紡ぎ、自分の本当に大切なことの表現が他者に共感され受け入れられる事業を創っていくことは、とても幸せなことなのではないかと思います。
仕事は生きていくことの表現のひとつだと、ぼくは思っています。様々な職業もそうですし、家事や育児、子供が遊ぶことも生きていく上で欠かすことのできない仕事です。

「Be the change that you wish to see in the world.(世の中に変化を求めるなら、あなた自身がその変化そのものに成りなさい)」というマハトマ・ガンジーの言葉のように、ぼく自身が生き方を表現する事業家であること、そして生き方を表現する事業を創りたい人に伴奏することを事業としていきたいと思っています。

若者へのメッセージ

「美味しいものを美味しいと感じられる心を磨くこと」
この言葉は大川ミサヲさんという、117年生きた女性が健康に生きる秘訣を聞かれたときに答えたものです。美味しいものを口にした時、本来人は「美味しい」と感じます。しかし、忙しく時間に追われながらだとそれを感じられなかったり、他者の意見や思い込みによって本当は美味しいはずのものを美味しく感じられなくなったりすることもあります。これは、食に関してだけの感性ではなく、働く上でも重要なことだと思っています。

本当は自分の夢や家族の豊かさのために仕事をしていたはずなのに、忙しさや社会の常識に捉われてしまうことで、自分の心身や家族を蔑ろにして機械的に働き続けるということは少なくありません。それでは働き続けることはできずに、夢を叶えることや家族を豊かにすることもできなくなってしまいます。
起業や仕事のノウハウは信頼と実績のある人から学び、それを愚直に実行することで多くの場合は成果につながります。しかし、価値観や感性は自分で気づき、大切に育てていくことで生きることや働くことの基盤となります。

最後に1つだけ質問をさせていただきます。
「あなたの本当に大切なことはなんですか?」
この問いの答えを本当に大切にしながら事業を続けることができたら、それはあなたにとって、そして世の中にとっても、いい事業になっていくと信じています。