現在の仕事についた経緯

この会社をつくる直前はインドネシアに5年ほど住んでいましたが、日本のものを欲しがっている人はいるのに日本側が売りに来ないため、現地の方が身近にある偽物を買ってしまうという状況を目の当たりにしてきました。結果、日本が取れるはずのパイが減ってくる上に、偽物の低いクオリティのために、購入者が不満を持ち、それがひいては日本にダメージがあるわけです。
ある日、日本の映画監督から弊社の取締役の藤田へ「映画が売れなくて困っていて、なんらか助ける方法を考えて欲しい」と相談がありました。たまたまアメリカのVODの方が「何度もメールを日本の映画会社に送っても返信が来ない」とおっしゃっていたので、確認したところ、「英語のメールなのでスルーしていた」という回答があり、これも同様に非常にもったいないと感じました。藤田の希望を踏まえつつ、これを少しでも是正したいと始めたのが、いまのビジネスです。

仕事へのこだわり

仕事のStyleについては、サラリーマン時代は、自分や自分の会社よりも、とにかくお客様の目標実現に注力して仕事をするようにしてきました。
私の曾祖父は無私無欲で、困ってお金を借りに来た方に自分がいま住んでいる家の権利書を与えたような人で、非常に尊敬しているのですが、私自身は、どうしても自分のことが優先的になりがちなので、それを少しでも是正するための方法として意識的に行ってきました。
結果としては、凡人の私が相手の立場に立っているつもりになって、ようやく相手とイーブンになれたくらいでした。とはいえ、このstyleのために、自分がやりたいことというよりも、目の前の方がやりたいことを実現するために動いてきました。この考えは起業後も変わらず、これまで起業した全ての会社は、誰かに頼まれたり、suggestionがあって興したものになります。周囲には人助けstyleと言われています。

一方で、仕事へのこだわりですが、自分の役割を明確化し、立場などに縛られないことに留意しております。具体的には、仲間を集めて作ったからには成功に向けて邁進しますが、当然、私の役割が不要になる時点があり、そのときに一番良い選択肢であるならば、立場を譲ったり、職を辞したりするということです。
私自身は、初期に少人数でRuleや事例がないところに、Ruleや事例を作りながら試行錯誤して小さな成功を生み出すことが好きですし、得意だとも感じていますが、ある程度の規模になって完全にルーティーン化した時に、優位性を発揮できないと感じています。
また、例えば、会社をより良くするために大企業の看板があったほうがよいならば、売却もしてきました。そのために人からは「会社に対する愛着がないのですか?」などと聞かれることもありますが、愛着がある故に、そうした決断をしている次第です。

若者へのメッセージ

いまの日本の若い方たちへ。
私はなにも心配していません。私が若いころよりも、明らかに非常に優れた人が沢山おり、世界で活躍する姿をあちこちで見ているからです。
私からできるアドバイスがあるとすれば、1つは、ぜひ1度は海外に出てみて欲しいということです。どこでも構いません。海外からですと、国内にいたときよりも日本のことがよく観えるのです。世界の中の日本として、どうしていけばいいかを考えることは、皆さん自身だけでなく、国全体にも大きく役立つと思います。
もう1つは、やりたいことを見つけたら、やってみたほうが良いということです。いくら頭の中で考えても答えはでませんので、やってみるしかないのです。私の年齢になると、周囲で「これをすればよかった」「あれをすればよかった」という話をよく聞きます。そういう後悔をしないためにも、お勧めします。
ただし、いきなりすべてをなげうって、やりたいことをはじめなくても大丈夫です。例えば、起業するにしても最初は数人で週1回、仕事終わりに集まれば良いのです。借金も不要で、まずは今ある手元資金で小さな成功事例をつくれば良いのです。みなさんの活躍を祈念しております。