現在の仕事についた経緯

2009年に今の事務所へ入所をし、2019年に代表に就任しました。就任当初は一番経営状態の悪い時でしたが、その状態からずっと一緒にやってきた社員には大変感謝をしています。
我々の仕事は、クライアントの知的財産を守り、活かすことなので、メーカのようにヒット商品を世に送り出して一発逆転を狙うことはできません。一つ一つの仕事をクライアント目線に立って丁寧に対応し、信頼関係を構築することに尽きると思います。
私一人がクライアントの信頼を得たとしても、それで経営が成功する訳ではなく、個々の弁理士がそれぞれクライアントの信頼を得なければ、成功はあり得ません。そのため、弊所では、個々の弁理士に対して裁量権を持たせる代わりに、それぞれが担当するクライアントとの強い信頼関係を構築することを求めており、所属弁理士全員がそのマインドを持って業務を行っていることが今年50周年を迎えることができた要因であると考えています。

仕事へのこだわり

人と人との信頼関係を大切にしています。
特許は依頼を受けたら、特許出願してから20年間、権利があります。その仕事を受けたら最低でも20年間、クライアント様と付き合っていく覚悟で仕事をするため、本当に人との信頼関係が一番大切であると思います。
また現在は、次の50年に向けた事務所の基盤作りに注力しています。
具体的には、安定した経営のため、新規クライアントの獲得、人材の確保・教育です。弁理士業界は、個人で独立して事務所を開設している場合が多数(約8割)を占めていますが、今後は世代交代も含めて組織(法人)として永続性が求められます。
一方で、弁理士は、普通の事業会社で働くより、個人で仕事をしたいというマインドを持っている者が多いです。そのため、組織に属しているという安定感と、個人で独立して仕事をするという達成感の両方を得られるような事務所にすることが、将来の発展にもつながると考えております。そのため、次の50年に向けた基盤作りに注力しています。

今後の目標

まずは事務所の規模を1.5倍程度にまで拡大し、経営基盤を安定させて次の世代に渡したいと考えています。しかしながら、大手事務所を目指している訳ではありません。むしろ中堅事務所で居続けることを目指しています。大きな組織ではどうしてもルールを定める必要があるため柔軟性に欠けます。弊所は、弁理士個々がクライアントに寄り添い、裁量権を持って仕事を行えることを第一と考えているので、その体制を持続できる事務所を目標にしています。
また、後継者不足の特許事務所が統合されていく流れも加速していくことが予測されています。弊所も今年、ある事務所と一部統合を行い、順調に進んでおります。今後、この種の事業承継も成功させたいと考えております。
そのうえで、将来的には弊所の傘下に各種メーカが所属し、各メーカの知的財産を弊所が取り扱うようなグループ企業を作れるといいなと思っています。
これまでの特許事務所では、製造メーカ(クライアント)から特許出願の依頼を受けて、特許の申請書類を作成するという流れですが、これだとクライアントからの仕事を待つというスタンスなので、特許事務所が積極的に知的財産を創成する立場になることはあり得ません。そのため、特許事務所がメーカの経営に参画できれば、新しいことができるのではないかと考えています。
要するに、コンサルティングは他人からの依頼を受けて金銭をいただいてある業務を行うものですが、メーカの経営の一翼を担うことができれば、もっと面白いことができるのではないかと考えているのです。次の世代にバトンタッチするまでに、一歩踏み出せたらと思っています。