現在の仕事についた経緯

前職を退職することを決めた後で、次に何をしようか考えながら知人や先輩に相談したところ、“いつまでサラリーマンをしているのだ”と多くの方からご意見をいただいたことが最大のきっかけです。
一番サラリーマンっぽくない人間が25年近くサラリーマンをやったので、そろそろ自分で自分の事業を考えてもよいのではないかと思いました。
幸い、一緒に事業をやろうと言ってくれる若いメンバーにも巡り合うことが出来たので、50歳を前に一度くらいチャレンジをしてみてもよいかなと思った次第です。

仕事へのこだわり

私の新人時代は、新卒ではなく大学院生のインターンから始まりました。20人強の社員しかいなかった楽天に飛び込み、主に三木谷さんに言われたことを、周りの人に助けてもらいながら何とか形にするということの繰り返しでした。
自分の社会人人生を振り返って確実なことは、自分の会社に自分と同じ業務をしている人がいたことは一度もないということです。前例がないことやお手本がないことを形にするというのが、私がこれまで一貫して行ってきたことだと思います。
一人で楽天でマーケティングを始めたことであったり、楽天ポイントのサービスを立ち上げたことであったり、ゲーム会社で日本で成功もしていないモバイルアプリ事業を立ち上げることであったり、人材会社で前任者のいないCMOのポジションを担ったりと、いつもそんな感じでした。
そのような状況では、どれだけロジカルに考え抜けるかが1つ目の重要なポイントです。そして2つ目のポイントは、走りながら考えることだと思っています。この2つを両立することが何よりも重要だと思います。考えるだけで立ち止まっていては、考えていることが正しいかがわかりません。一方で考えもせずに走り出してしまっては、成功の確度も上がりませんし、そもそもなぜ成功した・失敗したのかを理解することもできません。
私は、大失敗でなく、小さな失敗であれば、失敗することは何も恥ずかしいことではないと思っています。失敗を否定してしまっては、新しいチャレンジは永遠にできません。

若者へのメッセージ

私は、デジタルマーケティングを20年以上に渡って生業としてきましたが、私が日本と海外でマーケティングをしていて強く感じているのは、本当にプロフェッショナルなマーケターが日本では非常に少ないという事実です。
日本企業が日本国内を飛び出してGlobalに活躍するためには、良いもの、良いサービスを創るだけでは不十分です。それを現地の顧客に売るための戦略を策定し、実行することが出来なければ、現地企業、Global企業との競争に打ち勝つことは出来ません。
私は、日本にもっと多くの本物のマーケターが生まれることがこれからの日本の成長には必要不可欠だと思っていますし、若い皆さんに是非そのチャレンジをして欲しいと考えています。
マーケティングはデジタル時代になり、ますます多様化・専門化を遂げており、非常にプロフェッショナルなスキルを要求される領域へと進化しています。一朝一夕に真のプロフェッショナルになることは出来ないかもしれません。しかし、簡単に出来ることにチャレンジしても、きっとその仕事はAIに取られてしまいます。
是非、真剣に努力して、真のスキルを持ったマーケターになりたいと思う若者が日本にたくさん生まれるようなお手伝いが出来ればと思っています。