現在の仕事についた経緯

住宅営業の経験を活かすべく父の経営する住宅建材の会社に入社しました。
入社してまもなく「住宅用制振装置」という新規事業が始まりましたが、この分野自体の認知度が低く、販売において当初は苦しみました。少しずつ成果が出始めたそんなときに、ある“事件”が起こったのです。

弊社が委託していた製造会社から突然製品の供給停止の通告を受けたのです。まさに青天の霹靂でした。さらには知らぬ間にパートナーと思っていた販売代理店と製造会社とでタッグを組まれており、言わばメーカーとしての立場をそっくり入れ替えられてしまうという事態に陥りました。
そして供給が途絶えただけでなく、これまで取引をしていた全ての顧客へ一斉にダイレクトメールを発送されてしまいました。そこにはメーカーが入れ替わった旨の案内に加えて、同製品が弊社より大幅に安価で提案されており、一層窮地に追い込まれました。今思い返すと毎日絶望の淵に立たされており、公園や海辺に行っては一人呆然と立ち尽くしていました。

状況説明のため、北は青森から南は九州まで半年近くかけて得意先様を一件ずつ訪問し、「次の供給先を見つけますので一年間だけ待っていて頂きたい」と伝えていきました。
このような状況下でしたので、取引を継続して頂ける見込みは薄く、半ばダメ元の行脚でした。ところが驚くことに「頑張れよ」「君たちに正義があると思う」と8割程度のお客様に取引を継続して頂けました。
同じ製品が低価格で入手出来るのにも関わらず、それを断りながら。

弊社のお客様で在り続けて頂いたそんな皆様のためにも何とか報いたい一心と、「あの時待っていて良かったよ、素晴らしいメーカーになったね」と言っていただくために、何が何でも諦めずに事業を再構築せねばと奮闘いたしました。抱えていた在庫が尽きるまでがデッドライン、それまでに何とかせねば。
諦めないでもがいていると、有難いことに様々な方が手を差し伸べてくださいました。まずはビジネスとしての基盤を確立しましょう、と大手電子メーカー知財部トップの方が私たちのために奔走して下さいました。弁護士の先生、弁理士の先生を紹介していただき、先生方の指南のおかげで状況は少しずつ好転していきました。
そして極め付けは、自動車パーツでは世界トップメーカーの独BILSTEIN社が製造を引き受けてくれたことでした。世界的なメーカーが、我々のような地方の小さな会社に製品を製造してくれると言ってくれたのです。これで新たな製品を供給出来る、と安堵しました。

あれから10数年、今ではその頃の事業部を分社化させ、株式会社evoltzとして以前より大きな規模で日本の住宅に制振装置を供給させて頂けるようになりました。
原点を忘れない。
あの時に誓ったことや、あの時に支えてくれたみなさんのことを。

「艱難辛苦汝を玉にす」
このような経験を経て、強くも優しくもなり、真の感謝の念を覚えました。この経験を活かし、世のため人のためになる事業を展開していきたいと思っています。

仕事へのこだわり

拘り、情熱、breakthroughを信条に仕事に挑んでいます。現在の制振装置メーカーの仕事に携わってからは、日本の住宅を地震に強く、価値あるものにするため、耐震工法+制振工法を普及させていくことを理念としています。
そのため、これまでの業界の常識にとらわれず、制振の概念を構築し、革新的な製品を開発し、分かりやすく世の中に広めていくことがミッションです。世のため人のためになる製品やサービスを提供し続けて、社会の課題解決をし、社会に求められる企業でありたいと考えています。

若者へのメッセージ

自分が好きなことや情熱を傾けられることに夢中になってください。初めは私欲、小欲でも良いと思います。先のステージとして大欲に生きて欲しいですね。