現在の仕事についた経緯

私が現在の介護職についた経緯は、4年前に母が癌で亡くなったことがきっかけでした。母の闘病期間中、ヘルパーさんの協力を受けながら母の介護を行っていました。特に私が苦手だった母の排泄交換については、自分では受け入れられない思いがありました。しかし、ヘルパーさんは私の気持ちを理解し、親身になって支えてくれました。
初めて病弱な母の姿を見た時、私は戸惑いと受け入れられない思いに苦しんでいました。しかし、ヘルパーさんは母の尊厳を守りながら、優しく接してくれました。ヘルパーさんの存在が私にとって大きな支えとなりました。
この経験から、私は介護の大切さを改めて実感し、多くの人々の役に立ちたいという思いが強くなりました。そのヘルパーさんのように、利用者の気持ちを理解し、自分自身の経験から生まれた思いを持ち、幅広く活躍したいと考えています。

仕事へのこだわり

今、私は介護の魅力を発信することに大きなこだわりを持っています。現代は、「VUCA時代」と呼ばれ、あらゆるものを取り巻く環境が複雑さを増し、将来の予測が困難な状況です。介護業界においても例外ではなく、これまではある程度、過去の経験から推測できていたことでも、技術革新や価値観の多様化、天変地異、複雑化するグローバル経済、社会構造の変化により、思いもよらない事態に進んでいくことは十分に考えられます。
介護はクリエイティブな仕事です。業界の概念を覆す可能性も十分に秘められています。今まで通りの延長線ではない時代だからこそ、これまでの常識にとらわれず、イノベーションを創出する時です。
介護のカッコよさは、スタイリッシュな部分よりも、そのマインドにあります。自身が持つ創造力や表現力、課題解決力を活かし、たくさんの人が夢を持って介護の道に進んでくださることを期待して、介護のブランディングに貢献してまいりたいと存じます。

「SDGs」についての取り組み・考えなど

私には夢があります。それは、地域に住むすべての方が利用できるフィットネスジムを開設することです。私の前職であるパーソナルトレーナーとしての経験を活かし、子供たちやお年寄り、障害をお持ちの方や介護が必要な方が、それぞれにあった体力づくりができる、同じ空間で楽しむことができる共生型フィットネスジムを作りたいと考えています。
しかしそれは、法人の永続のために私が未来に向けた最も重要なブランディング戦略の一つでもあります。今、私たちは窮地に立たされています。喫緊の問題は、職員の高齢化が進む中、若者の雇用が困難を極めていることです。私たちの法人では8年間にわたり新卒の雇用がないという残酷な現実を突きつけられています。不人気業種のうえ、過疎地域では中途採用すら皆無に等しい状況です。離職率は改善しているものの、このままでは、いつか職員を確保できずベッド数に対する基準を満たせなくなってしまうのではないかと危惧しています。
次に訪れる問題は、高齢人口の減少期の到来です。高齢化率の上昇は続くものの、2040年代には65歳以上の人口が減りはじめ、介護需要そのものがピークアウトします。これから先まだまだ継続して市場が拡大していく業界だと思われがちですが、ニーズが減る時代はそれほど先ではないのです。人気がない介護業界と人気があるフィットネスジムの組み合わせは若者の雇用を生み、さらに地域社会における健康と福祉の向上に寄与できることは、まさにSDGsの目標である「すべての人に健康と福祉を」という目標に向けたアクションとなります。
私は、介護職の人材不足問題を解決するだけでなく、地域の健康と福祉を支援することにより、より良い社会の実現に貢献できると信じています。私の大好きな言葉に「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。」(吉田松陰)があります。具体的なことは何も決まっていませんが、夢の実現に向かって一歩一歩進んでいこうと思います。

若者へのメッセージ

私の3年間での介護経験の中で得た、介護の魅力についてお話させて頂きます。
ある利用者様は、女性で認知症を抱えながらも小柄であり、歩行もしっかりとされていました。その利用者様は毎日手を合わせ感謝の言葉を忘れることなく口にし、周囲の人々にもその思いを伝えていました。私はその利用者様の明るい姿勢に感銘を受け、私もその人に何かできないかと考えました。そこで、ご家族から預かった手紙を毎日読み聞かせることにしました。毎日初めて手紙を聞いたかのように感動し、涙を流しながら、「幸せ者です」と感謝の言葉を口にしていました。その姿は本当に心温まるものでした。
認知症はマイナスのイメージがあるかもしれませんが、私はその時、認知症のプラスの面を感じると同時に素晴らしさを感じました。その利用者様の感謝の言葉や幸せな姿を見ることで、私も毎日の生活に感謝することの大切さを改めて学びました。またこのような貴重な経験は、介護職にしか絶対に味わえないものです。
そして、私たち若者は、介護の重要性についても知っておく必要があります。介護は私たち若者にとって重要なテーマであり、介護の仕事は人々の生活を支えるとても意義深い仕事です。高齢者の方など、支援が必要な方々の日常生活をサポートすることで、利用者様が自立した生活を送ることができるようになります。その過程での利用者様との触れ合いや支援を通じて、多くの感謝の言葉や笑顔を受け取ることができます。利用者様からの笑顔や感謝の言葉を受けると、心が満たされ幸福感や達成感を感じます。ご年配の方の温かさは言葉だけでは表現しきれないほど深く、その存在自体が私たちの原動力となります。達成感や幸せを感じることは、なにものにも代えがたいものです。
さらに現時点では、高齢化社会に伴い介護が必要な人々の数も増えています。介護の現場で働く人材への需要も増えてきていますが、介護求職者が少なく介護人材が不足しているのが現状です。介護は誰もが直面する可能性のある課題ですが、その重要性を理解し、適切な準備をしておくことが大切です。
一人ひとりが意識を高め、持続可能な社会を共に築いていきましょう。また、当法人が気になる方や案件など、お気軽にご連絡ください。